食品添加物とは?身体に悪いって本当?定義から役割までわかりやすく解説

多くの食品に使用されている「食品添加物」ですが、なかには「身体に良くない」「避けた方が良い」というイメージを持つ方もいるかもしれません。

しかし、食品添加物にはそれぞれの役割があるため、十分に理解して納得した上で利用することが大切です。

そこで本記事では、食品添加物とは何か、基本的な情報から役割、安全性まで解説します。食品添加物に関する知識と理解を深め、日々の食生活に役立てましょう。



食品添加物とは?

食品添加物には多様な種類があり、「食品衛生法」により定義・分類されています。まずは、食品添加物とは何なのか見ていきましょう。

以下では食品添加物の定義や分類を紹介するため、参考にしてください。


食品添加物の定義

食品衛生法(第四条第二項)※にて示されている食品添加物の定義は、以下のとおりです。

「添加物とは、食品の製造の過程において又は食品の加工若しくは保存の目的で、食品に添加、混和、浸潤その他の方法によって使用する物をいう。」

簡単にいうと、加工や保存、風味づけなどを目的に食品へ加える調味料や保存料などを、まとめて「食品添加物」と定義付けています。


食品添加物の分類

食品衛生法で添加物としての使用が認められている食品添加物は、以下の4種類のみです。

「指定添加物」は、食品衛生法施行規則別表1に掲載されています。平成7年の食品衛生法改正により、化学的合成品の他、天然物も含まれるようになりました。キシリトールやソルビン酸などが代表的な指定添加物です。

指定添加物として認められたもの以外は、原則として製造、輸入、使用、販売できません。例外的に指定を受けずに使用が認められているのが、他の3種類(既存添加物、天然香料、一般飲食物添加物)です。

「既存添加物」は、食品衛生法改正の際に新たに設けられた類型で、クチナシ色素、カキ色素などが該当します。

「天然香料」は、基本的に使用量はごくわずかであり、バニラ香料やカニ香料などが代表的です。

「一般飲食物添加物」は、一般に食品として用いられるものであり、主にストロベリー果汁や寒天などが挙げられます。食品衛生法第12条では、「一般に食品として飲食に供されているもので添加物として使用されるもの」と定義されています。



食品添加物が持つ4つの役割とは

どの食品添加物も、必ず何らかの目的があって使用されています。目的を果たすための役割は、大きく4つに分けられます。

ここからは、食品添加物の4つの主な役割について見ていきましょう。


食品の品質を保持し、食中毒などのリスクを低減する

食品添加物には、食品の腐敗や変色を防ぎ、食中毒などのリスクを低減する役割があります。これにより、食品の品質や安全性を保つことができます。

例としては、保存料、日持向上剤、防カビ剤などが挙げられ、それぞれ以下のような役割があります。


味や香りをつけて嗜好性を高める

美味しく楽しみながら食事するためには、食品の味や香り、色味や食感が重要な意味を持ちます。食品添加物には、これらの要素を向上させる役割もあります。

代表的なものには、以下のようなものが挙げられます。

甘味料や酸味料などで味を整えて、香料で香り付けすることで、食品がより美味しく感じられるようになるでしょう。

また、着色剤でリキュールなどの飲料を着色すれば、カラフルで美しい色調を楽しむことができます。発色剤には、ハムやソーセージ、いくらなどの色をより鮮やかにする作用があります。


食品の製造・加工時に必要

食品の製造や加工のために、食品添加物を必要とする場合もあります。食品添加物がなければ、そもそも食品そのものが作れないというケースです。

以下のようなものが例として挙げられます。

豆腐やこんにゃくは凝固剤がなければ固まりません。中華麺特有の弾力のある食感は、かんすいを加えることで出せるものです。

また、ゲル化剤を用いてゼリーやプリンなどを液状からゼリー状にしたり、乳化剤を用いて乳飲料やアイスクリームを作ったりすることができます。

他にも、まんじゅうを膨らませるために膨張剤が、チューイングガムの咀嚼基材としてガムベースが使用されるなど、多様な添加物が食品の製造・加工に役立っています。


栄養価を補填・強化する

食品を製造・加工する際に、栄養成分が減少してしまう場合があります。失われた栄養成分を補填・強化するために役立つのが食品添加物です。主に、ビタミン類、ミネラル類、アミノ酸類を加えることで、栄養価を高めます。

代表的な栄養強化剤としては、L-アスコルビン酸、β-カロテン、焼成カルシウムなどがあります。

なお、このような食品添加物は、食べ物だけでなく飲み物にも使用されています。食べ物に含まれる食品添加物のみが注目されやすいですが、飲み物の知識を持つことも大切です。



身近な食べ物・飲み物に使われている食品添加物の例

普段口にしている身近な食べ物や飲み物には、どのような食品添加物が使われているのでしょうか。

食べ物に使用される添加物の一例としては、お菓子や餅、お漬物などを着色する「クチナシ黄色素」(着色料)があります。

前述のように、豆乳を固めて豆腐を作るのに欠かせない豆腐用凝固剤には、主に「塩化マグネシウム」が使われています。まんじゅうや蒸しパンを膨らませる膨張剤として代表的なのは、「炭酸水素ナトリウム」です。

また、食べ物だけでなく、飲み物にも食品添加物は使用されています。例えば、コーラには、甘みをつけるために甘味料の「スクラロース」が添加されています。酸味料の「クエン酸」は、ジュースに酸味や爽快感を加えるのに役立つ添加物です。

ペットボトル飲料の酸化を防ぐために使われる酸化防止剤の「アスコルビン酸」には、変色を防ぎ風味を維持する役割もあります。

このように、市販の食べ物、飲み物には多様な食品添加物が使用されています。

なお、食品添加物について「無添加」「不使用」と謳った商品もありますが、食品添加物の不使用については規程があいまいな部分も多いのが現状です。そこで、あいまいさや表示による消費者の誤認を防ぐため、2022年には「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」が策定されました。

正しい知識がないと、食品添加物に関する誤認から選択の自由を妨げてしまうおそれがあります。「無添加だから安心」「添加物を含むから避けるべき」などと、安易に判断しないようにしましょう。



食品添加物の歴史

食品添加物という言葉ができる遥か前から、人々は食品を保存するために様々な工夫を行ってきました。

例えば、食品を天日干しする、煙でいぶす、塩漬けにする、香辛料をまぶす、発酵させるといった工夫です。いずれも食品を長持ちさせる目的で、現代人の祖先が知恵を活かして考え出した方法です。

大昔から食品の保存や品質向上のために工夫する流れがあり、食文化、食品加工技術の進歩とともに食品添加物が使用されるようになっていきました。

現代に至るまでに新たな添加物が次々と生み出されましたが、なかには安全性の問題で使用されなくなったものもあります。1960~70年代に使用禁止となった人工甘味料ズルチン、殺菌剤AF2がその代表例です。

現在は、前述のとおり安全性と有効性を厚生労働大臣が認めたもののみ使用可能となっています。



食品添加物は安全?身体に悪いって本当?

安全性が認められたもののみ使用される食品添加物ですが、本当に安全性が確保されているのか不安な方もいるかもしれません。

日本での食品添加物の安全性に関しては、食品安全委員会がリスク評価を行っています。試験を通じて、以下のように科学的に安全性を評価しています。

  1. 一生摂取しても健康への悪影響がないとされる「一日摂取許容量」(ADI)を設定する
  2. 結果を受けた厚生労働省が審議を行い、食品ごとの使用量や使用基準などを決める
  3. 実際の摂取量がADIを超えていないか調査する

なお、ADIは最大無毒性量の1/100に設定されます。

また、海外での安全基準は、FAO(国連食糧農業機関)とWHO(世界保健機関)が設立したJECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門家委員会)により評価が行われます。

JECFAで合意した基準をもとに、日本をはじめ各国がそれぞれの基準を設けるという流れです。日本でも国際的な規格や基準に沿うようにしていますが、食生活や制度の違いなどもあり、単純な比較はできません。

食品添加物の安全基準は厳格に評価されているため、決められた量を正しく摂取すれば問題ないと考えられます。

そのため、「食品添加物が入っているから危険、身体に悪い」と過度に避ける必要はありません。正しい情報を理解した上で利用することが大切でしょう。



食品添加物や食品素材への知識をより深めたいなら「ドリンクジャパン」へ

食品添加物や食品素材の知識を深めたい方のなかには、今後飲食業界に参入する方や新規事業の展開を考えている方もいるかもしれません。そのような方がより知識を深めるためには、「ドリンクジャパン」への参加がおすすめです。

ドリンクジャパンとは、飲料・食品業界から多くの関連企業が出展する、飲料・液状食品の開発・製造展です。品質管理や原料・OEMなど、幅広いジャンルの製品・ソリューションが出展します。

飲料の原料だけでなく、香料や色素などの添加物も出展対象となっているため、本記事で紹介した「食品添加物」についても、展示会への参加を通してより知識を深めることができるでしょう。

また、果汁や茶葉など、天然原料・機能性素材に関する出展もあり、添加物に限らず幅広い知識が得られます。

事前の申し込みは不要で、来場登録すれば無料で入場できます。

なお、来場だけでなく出展者側として参加するメリットも多いです。

ドリンクジャパンには、食の安全対策への意識が高い企業・経営者などが集まります。そのなかで自社製品をアピールできることに加え、対面での営業が行えるため、新規リード獲得につながる可能性も高いでしょう。

来場、出展ともにメリットがある展示会「ドリンクジャパン」への参加を、ぜひ検討してはいかがでしょう。

ドリンクジャパンの詳細は以下のとおりです。

■ドリンクジャパン



食品添加物とは何かを正しく理解して上手に利用しよう

食品添加物は、安全性が確保された上で使用が認められているものです。使用量も定められており、食品のなかには食品添加物がないと作れないものもあります。

食品添加物の摂取そのものが身体に悪いわけではないため、むやみに避ける必要はありません。重要なのは、食品添加物とは何か正しく理解することであり、安全性だけでなく役割や必要性を知った上で利用することが大切です。

食品添加物と上手につき合うことで、食生活がより豊かになる可能性もあります。食べ物だけでなく飲み物にも使用されているため、飲み物についても関心を持つと良いでしょう。

より知識を深めたい時には、飲料に関する最新情報が得られる展示会への来場もおすすめです。



▶監修:山本 佳奈(やまもと かな)

ナビタスクリニック内科医、医学博士
1989年生まれ。滋賀県出身。医師・医学博士。2015年滋賀医科大学医学部医学科卒、2022年東京大学大学院医学系研究科(内科学専攻)卒。南相馬市立総合病院(福島県)での勤務を経て、現在、ナビタスクリニック(立川)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員を務める。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)がある。



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