測定機器とは?活用方法や種類、飲料・食品業界での具体的な事例も紹介

測定機器は、日常生活から業務用まで幅広い用途で用いられる道具です。

日常生活で使用される測定機器の代表例には、メジャーや体重計があります。業務用として用いられる測定機器には多様な種類があり、一般的なものより精度が高いです。

本記事では、測定機器の概要や使用する目的、種類、選び方などを解説します。事業に測定機器を導入する場合は、測定機器に関する知識を深めて、目的に合ったものを導入しましょう。



測定機器の概要

測定機器とは、対象物の物理量を測る機器です。測定する物理量には、主に長さや透過率、温度、放射線量、真円度などがあります。

日常生活で使われる他、業務用として使われる工業用の測定機器もあり、こうした測定機器を用いる業界は様々です。

家庭でよく使われるメジャーやはかりなどの一般的な測定機器と比べて、工業用の測定機器はより細かく計測できます。最小単位を比較すると、一般的なスケールは1mm単位のものが多いですが、工業用スケールは0.001mm単位での測定が可能です。

なお、測定を補助したり測定値を表示したりする機器も、測定機器に分類されることがあります。



測定機器の活用方法

工業・生産業界の測定機器は、どのような目的で使用されるのでしょうか。

まず挙げられるのが、対象物(製品)の物理量を数値化し、設計どおりにできているか検査、評価する活用方法です。例えば、製品を構成する部品・製品の状態を測定することで、想定どおりに製造できているかの確認ができます。

また、対象物(製品)の測定より得たデータから対策や分析を行うためにも、測定機器が活用されます。例えば、測定を行い製品がどの程度の負荷に耐えられるか分析できると、製品の不具合予防や製品改善につながります。



測定機器が使われる主な業界

測定機器は多様な業界で用いられますが、ここでは自動車産業、医療・医薬業界、半導体産業を例に、どのような用途で活用されているか紹介します。

自動車産業で使われるのは、「三次元測定機」や精密センサなどの測定機器です。三次元測定機ではギヤ(歯車)の検査をはじめ、複雑な部品の形状を測定します。非接触精密センサは、ワイヤーの外径検査、ロールの外径や振れの測定などに使用されます。

三次元測定機は、医療・医薬業界でも用いられる測定機器です。医療・医薬業界では三次元測定機を使い、人工関節のヘッド・ライナーなど三次元形状を高精度に測定します。また、変形しやすいカプセル剤のボディ寸法などの測定には、「画像測定機」が使用されます。

半導体産業で活躍するのは、主に「画像測定器」や「測定顕微鏡」などの測定機器です。画像測定機は、半導体の製造で欠かせないシリコンウェハーの洗浄などに用いる、シャワーヘッドの品質管理に役立ちます。測定顕微鏡は、拡大して観察する必要のある微細な対象物の品質管理に使われ、チップの欠損などを発見できます。



飲料・食品業界における測定機器の具体的な活用事例

前述のとおり、測定機器は多様な業界で使われる道具です。身近な分野に着目すると、飲料・食品業界でも活用されています。

飲料・食品業界では、安全な食品を提供するために測定機器が用いられます。測定機器を用いて生産や製法に関する要素を数値化し、品質維持や効率アップにつなげることも可能です。

飲料・食品業界で測定機器がどのように使用され役立っているか、詳しく見ていきましょう。


食感の数値化による品質管理

食品をおいしいと感じるには、味だけでなく食感も重要な要素です。食感を管理するために役立つものが、粘弾性測定装置「レオメーター」です。

レオメーターは食品の食感の数値化などができ、食感に関わる食品の破断や流動などを定量化できます。

レオメーターを用いた食感試験で硬さや弾性などを数値管理すれば、食品の味わいや品質の安定につながります。加えて、咀嚼のしやすさなどの検討も可能です。

具体的には、ポテトチップスのパリパリ感の測定や、高齢者など咀嚼が難しい方に向けた食品の製造に役立ちます。


温度の数値化による品質管理

飲料・食品を扱う業界では、食中毒を発生させないための衛生管理が重要です。調理中から保管工程まで、食品の取り扱いには細心の注意を払わなければなりません。

食品の内部まで十分加熱されているか確認したり、食品の鮮度を保ったまま輸送したりするために必要なことが、温度管理です。 適切に温度を測定するために、必要なシーンに応じて温度計を使い分けると、より適切な食品の品質管理につながるでしょう。

例えば、接触型温度計は、主に調理食品の中心温度を測るために使用します。食品に直接触れる機器のため、衛生的に保たなくてはなりません。

一方、非接触型温度計は、主に原料の受け入れ検査などで使われ、食品になるべく触れずに測定したい時に役立ちます。触れたくないものや触れられないものの他、 離れているものや動いているものにも使用可能です。


温湿度や露点の数値化による品質管理

ビールやコーヒーなど身近な飲料の製造現場でも、様々な測定機器が活用されています。飲料業界で品質管理のために使われるのは、「露点計」や「温湿度計」などの測定機器です。

例えば、ビール工場では発酵作業の際に露点計を使用します。露点とは、気体を冷却した時に水滴になる温度です。発酵する工程をスピーディに行うため、「圧縮空気」を使用する際に露点計を用います。

露点計はコーヒーやお茶の製造工場でも使われており、抽出後に廃棄する豆や茶葉を乾燥させる時に活躍します。同工程では露点計の他、質量流量を測定して流量を制御する「マスフローメーター」も使われます。

こうした幅広い飲料の製造現場では、容器詰めや包装の工程でも、露点計や温湿度計を用いた品質管理が行われています。


目に見えない汚れの数値化による衛生管理

飲料・食品業界の衛生管理では、汚れや菌の除去も重要です。専用の測定機器による「ATPふき取り検査」を行えば、きれいに洗浄できているか簡単に調べられます。

「ATP(アデノシン三リン酸)」とは、全ての生物に存在する、エネルギー供給のために必要な化合物です。ATPの数値が高いと、菌汚染や菌の増殖リスクも上がると考えられます。



飲料・食品業界で測定機器を導入する際のポイント

測定機器には多様な機種があるため、使用用途に合った適切なものを選ぶことが大切です。

まずは、検査する精度がどのくらい必要なのか決めましょう。高精度な測定が必要な場合は、それに対応できる測定機器が求められます。

しかし、測定の精度が上がるほど機器の価格も上がることが一般的です。必要以上に高精度な機器を選ぶと、無駄なコストがかかってしまう点にはご注意ください。

次に、対象物の材質やサイズを明らかにしましょう。硬さ・柔らかさ、透明・不透明など、対象物の材質によって適した測定機器は異なります。また、測定機器のサイズは、対象物の最小から最大までの大きさを踏まえて選ぶ必要があります。

なお、測定機器は長期間使用するケースが多く、買い替える頻度も少ないことが想定されます。長く使うことを前提とすると、メンテナンスのしやすさも重要なポイントです。故障に備えて、部品の入手のしやすさも確認すると安心です。



飲料・食品向けの測定機器を実際に見たいなら「ドリンクジャパン」へ!

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また、ドリンクジャパンには出展者側として参加する方法もあります。

ドリンクジャパンに出展すると、測定機器の導入に意欲ある企業と直接商談ができるチャンスを作り出すことが可能です。さらに、測定機器に限らず、原材料など製造に関わる様々なことに興味を持つ企業とのつながりができるかもしれません。

このように、ドリンクジャパンは来場者としても、出展者としても意義ある展示会です。来場者として参加すれば、見知らぬ技術や企業を新しく発見する絶好の場となり、出展者として参加すれば、自社の製品・サービスを直接アピール可能です。

ぜひドリンクジャパンを情報収集や商談などにお役立てください。

ドリンクジャパンの詳細は以下のとおりです。

■ドリンクジャパン



適切な測定機器を導入すると品質管理などに役立つ

測定機器は日常生活から業務用まで、幅広い用途で活躍する道具です。工業用の測定機器は、製品や部品を正確に測定するために欠かせません。測定できる対象物は様々であり、製品の品質管理や製造現場の衛生管理などに役立ちます。

測定機器を使用する業界は、自動車業界や医療業界など幅広いです。人々の生活に身近な飲料・食品業界でも、品質管理を中心に重要な役割を担っています。

事業で適切な測定機器を導入するには、目的に合ったものを選ぶことが重要です。導入に失敗しないためにも、必要となる精度や対象物のサイズなどを明確にしましょう。

また、飲料・食品業界に関連する測定機器を導入したい場合には、ドリンクジャパンへの参加もおすすめです。来場、もしくは出展をぜひご検討ください。



▶監修:門脇 一彦(かどわき かずひこ)

岡山商科大学経営学部特任教授、キャリアセンター長
國學院大學経済学部兼任講師
1959年大阪市生まれ。神戸大学経営学研究科博士後期課程、博士(経営学)。大手空調企業で機器開発及び業務改革を実践後、ITコンサルタントを担い現在に至る。2021年より現職。経営戦略、技術管理、IT活用、医療サービスマネジメントなどを研究。



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