機能性表示食品とは?表示例や制度概要をわかりやすく解説

商品のパッケージなどでよく見かける表示のひとつに「機能性表示食品」の記載があります。見たことはあっても、「機能性表示食品とは何か?」「どのような表示例があるのか」など疑問に思う方は多いのではないでしょうか。

本記事では機能性表示食品の制度概要や表示例を詳しく解説します。機能性表示食品を生活に取り入れるポイントも解説するので、ぜひ参考にしてください。



機能性表示食品制度とは?

機能性表示食品制度について、消費者庁は以下のように定義しています。

機能性表示食品制度とは、国の定めるルールに基づき、事業者が食品の安全性と機能性に関する科学的根拠などの必要な事項を、販売前に消費者庁長官に届け出れば、機能性を表示することができる制度です。

特定保健用食品(トクホ)と異なり、国が審査を行いませんので、事業者は自らの責任において、科学的根拠を基に適正な表示を行う必要があります。

機能性表示食品とは、この機能性表示食品制度に基づき、事業者が消費者庁長官に届け出た科学的な根拠のある機能性を表示できる食品です。

機能性表示食品の安全性や機能性の根拠に関する情報は、販売開始の60日前までに事業者が消費者庁長官へ届出をします。届出については、消費者庁の「【食品関連事業者向け】機能性表示食品の届出について」をご確認ください。

機能性表示食品は特定保健用食品(トクホ)とは異なり、国による個別審査は行われず、個別に許可を受けるわけではありません。これらの表示内容の適正性については事業者が責任を持ちます。

後ほど解説する特定保健用食品(トクホ)と比べると、手軽に販売できる点が特徴です。


機能性表示食品制度ができた背景

機能性表示食品制度ができる前、機能性を表示できる食品は、国が個別に許可した「特定保健用食品(トクホ)」と国の規格基準に適合した「栄養機能食品」のみでした。

時代の流れとともに消費者の健康ニーズが高まり、商品の正しい情報を得られることが重要視されるようになったことをうけ、平成27年に創設されたのが「機能性表示食品制度」です。

この制度は、機能性をわかりやすく表示した商品の選択肢を増やすことをひとつの目的としています。機能性表示可能なカテゴリーとして、特定保健用食品(トクホ)や栄養機能食品に機能性表示食品が加わり、より商品の情報を的確に得られるようになりました。



機能性が表示されているその他の食品

前述したとおり、機能性表示食品制度導入前にも、機能性表示ができる区分がありました。機能性が表示されている食品は、機能性表示食品以外に以下の2つがあります。

  • 特定保健用食品(トクホ)
  • 栄養機能食品

機能性を表示できない一般食品に対して、国が定めた安全性や有効性に関する基準などに従って、機能性を表示できる食品が「保健機能食品」です。保健機能食品は、「機能性表示食品」「特定保健用食品(トクホ)」「栄養機能食品」の3つに分けられます。

以下では、「特定保健用食品(トクホ)」と「栄養機能食品」について解説します。


特定保健用食品(トクホ)

特定保健用食品(トクホ)について、消費者庁は以下のように定義しています。

健康の維持増進に役立つことが科学的根拠に基づいて認められ、「コレステロールの吸収を抑える」などの表示が許可されている食品です。表示されている効果や安全性については国が審査を行い、食品ごとに消費者庁長官が許可しています。

容器やパッケージに表示されたトクホマークが目印です。特定保健用食品(トクホ)は、消費者庁長官が許可し、国の審査を通過した食品のみに表示されます。


特定保健用食品(トクホ)の表示例

  • コレステロールを低下させる
  • 血圧が高めの方に
  • 体脂肪を減らすのを助ける

上記のような、特定の保健の効果が科学的に証明されている商品が特定保健用食品(トクホ)として認められています。


栄養機能食品

栄養機能食品について、消費者庁は以下のように定義しています。

一日に必要な栄養成分(ビタミン、ミネラルなど)が不足しがちな場合、その補給・補完のために利用できる食品です。すでに科学的根拠が確認された栄養成分を一定の基準量含む食品であれば、特に届出などをしなくても、国が定めた表現によって機能性を表示することができます。

栄養機能食品は、規格基準を満たしていれば国への申請や届出は必要ありません。


栄養機能食品の表示例

  • カリウムは、正常な血圧を保つのに必要な栄養素です。
  • カルシウムは、骨や歯の形成に必要な栄養素です。

栄養機能食品の規格基準が定められている栄養成分については表示できますが、それ以外の成分の機能表示や、特定保健用食品(トクホ)のように特定の保健の用途の表示をしてはいけない決まりがあります。



機能性表示食品の表示例

機能性表示食品のパッケージ表裏には、それぞれ以下のようなものが書かれています。

機能性表示食品のパッケージには、主要な面に「機能性表示食品」という文言と届出番号が記載されています。その他、1日あたりの摂取目安量や注意事項、摂取方法などが詳しく記載される決まりです。

また、「本品には〇〇が含まれるので、〇〇の機能があります。」のように、科学的根拠を基にした機能性について、消費者庁長官に届け出た内容が事業者の責任により表示されています。


機能性表示食品で認められる表示例

有効性・機能性に関わる表示は「ヘルスクレーム」と呼ばれます。機能性表示食品で認められるヘルスクレームは幅広いですが、主に以下のようなものがあります。

  • LDL(悪玉)コレステロールを下げる
  • 脂肪を消費しやすくする
  • 体脂肪を減らす
  • 一時的な精神的ストレスを緩和する
  • 良質な睡眠をサポートする
  • 目の潤いをサポートする
  • 健康な歯茎を維持する
  • 免疫機能をサポートする
  • おなかの調子を整える
  • 肌の健康をサポートする
  • 集中力を高める
  • 骨の健康をサポートする など

機能性表示食品には、体の機能や体調の変化の改善、生活の質に関連した機能の改善などの記載が認められています。これにより、消費者は自身の体の不調や求める効果にあわせて商品を選ぶことができます。


機能性表示食品で認められない表示例

機能性表示食品のヘルスクレームは特定保健用食品(トクホ)などに比べると幅広いですが、なかには認められないものもあります。以下は、機能性表示食品で認められない主な表示例です。


機能性表示食品で認められない表示例

  • 病気の治療や予防に関する表示:花粉症が治る、心疾患を防ぐなど
  • 特定の病状・疾患を指摘する表示:高血圧の人に効果があるなど
  • 医薬品の効果を示唆する表示:痛みを和らげる、風邪を治すなど
  • 精神的・身体的な機能の改善を断定する表示:記憶力が100%向上する、体力が倍増するなど
  • 絶対的な結果を保証する表示:必ず痩せる、完全に健康になるなど
  • 健康の維持・増進の範囲を超える表現:肉体改造、美白になるなど

また、機能性表示食品は事業者が自己の責任において表示を行うものであり、「国が認めた」といったような表現を行うことや、虚偽表示、効果について誇大表示を行うこともできません。

機能性表示食品の広告には、「食品表示法」や「景品表示法」、「健康増進法」などもかかわるため、商品の開発や製造を考えている場合は、違反にあたらないようしっかりと理解しておきましょう。



機能性表示食品を生活に取り入れるポイント

機能性表示食品は、開発や製造、販売時の表示に注意が必要な商品ですが、生活に取り入れる際にも注意点はあります。

以下では、消費者として機能性表示食品取り入れる際に気をつけるべき2つのポイントを紹介します。

  • 規則正しい食生活を基本とする
  • 摂取量を守って取り入れる

開発・製造側として商品の表示を考える際は、消費者目線で考えることも大切です。ポイントを踏まえて、活かせる部分もあるかもしれません。


規則正しい食生活を基本とする

機能性表示食品は科学的根拠をもとに機能性が表示されていますが、それだけを摂取していれば健康になれるわけではありません。バランスの取れた、規則正しい食生活をとることが基本です。

取り入れる際は、機能性表示食品はあくまでプラスアルファの食品と考え、頼りすぎないようにしましょう。

機能性表示食品のなかには、「食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。」のように、パッケージに食事のバランスに関する記載がされている場合もあります。


摂取目安量を守って取り入れる

機能性表示食品は、たくさん取り入れれば効果が増大するわけではありません。摂取目安量を超えて摂取すると、かえって健康に悪影響をおよぼす可能性があります。パッケージに必ず摂取目安量や摂取方法が記載されているため、よく確認した上で摂取しましょう。

なお、ご自身にあった機能性表示食品を探したい場合は、消費者庁の「機能性表示食品の届出情報検索」で検索できます。「表示しようとする機能性」の欄に「血糖値」「コレステロール」「ストレス」などと入れて検索すると、該当のキーワードに関連する機能性を持つ商品を一覧で確認できます。



機能性表示食品の開発・製造に関する情報収集なら「ドリンクジャパン」へ

機能性表示食品を開発・製造する場合は、制度の内容や表示に関する決まりを知っておくことが重要です。そこで、機能性表示食品に関する情報収集をしたい場合は「ドリンクジャパン」への参加を検討してみてはいかがでしょうか。

ドリンクジャパンとは、多くの飲料業界関連企業が出展する、飲料・液状食品の開発・製造展です。国内外の飲料・酒類メーカー、食品メーカーが製品導入の検討、最新情報の把握のために来場します。

ドリンクジャパン内には「原料・素材」の特設エリアがあり、機能性食品素材も出展しています。また、出展社による製品・技術プレゼンテーションも行われるため、より詳しい情報を得ることができます。

飲料の開発・製造に関わる企業の場合は、出展することで自社製品やサービスのPRができ、新規顧客の獲得につながりやすいです。

来場、出展ともにメリットがあるため、ぜひ詳細をご確認ください。

■第9回 ドリンクジャパン
 2024年11月20日(水)~22日(金)



機能性表示食品制度を理解して表示を確認しよう

機能性表示食品とは、事業者が自らの責任で、科学的根拠に基づいて機能性を表示する食品です。販売開始の60日前までに消費者庁長官へ届け出れば、国の審査は必要ありません。

一方、同じく機能性を表示できるものには、特定保健用食品(トクホ)と栄養機能食品があります。特定保健用食品(トクホ)は国の審査と消費者庁長官の許可が必要となり、栄養機能食品は国が定めた表現で機能性を表示できます。

機能性表示食品のヘルスクレームは幅広いですが、なかには認められない表示もあり、例えば「花粉症が治る」「糖尿病の人に」「増毛」など、病気の予防や治療効果を暗示する表現はできません。

機能性表示食品を開発・製造する場合は、違反にあたらないようにするためにも、制度の詳細や表示例などを確認し、より知識を深める必要があります。機能性表示食品の開発・製造を考えている場合は、ぜひドリンクジャパンへの来場・出展をご検討ください。

■第9回 ドリンクジャパン
 2024年11月20日(水)~22日(金)



▶監修:宮崎 政喜(みやざき まさき)

エムズファクトリー合同会社 代表 / 料理人兼フードコンサルタント
出身は岐阜県、10代続く農家のせがれとして生まれ、現在東京在住。プロの料理人であり食品加工のスペシャリスト。また中小企業への経営指導、食の専門家講師も務めるフードコンサルタントでもある。飲食店舗・加工施設の開業支援は200店舗以上。料理人としてはイタリアトスカーナ州2星店『ristorante DA CAINO』出身。昨今、市町村や各機関からの依頼にて道の駅やアンテナショップも数多く手掛ける。今まで開発してきた食品は1000品目を越え、商品企画、レシピ開発、製造指導、販路開拓まで支援を日々実施している。



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