沖縄から全国へ!オリオンビールの新たな挑戦

12月に開催が迫る「第7回 ドリンクジャパン」。今回は同時開催セミナーにご登壇いただくオリオンビール(株)取締役 兼 執行役員副社長 CMO 吹田 龍平太氏のインタビューをお届けします。沖縄発のビールメーカーとして独自の活動を展開する同社の取り組みや、これからの成長戦略、そしてこの秋発売されたばかりのプレミアムビール「オリオン ザ・プレミアム」についてなど、興味深いお話しをたくさんお聴きしました。みなさん、ぜひご一読ください。

セミナー
酒類フォーラム2 ~新しいビールの開発戦略~
新しいビールをつくり、沖縄から全国へ    
【日時】2022年12月07日(水)12:00~13:00
【会場】幕張メッセ
【登壇者】オリオンビール(株)取締役 兼 執行役員副社長 CMO 吹田 龍平太

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プロフィール
1990年学習院大学卒。1997年ニューヨーク大学でMBA取得。主に外資系メーカーにてマーケティングを中心に従事。日本コカ・コーラで清涼飲料のマーケティングを経験、その後MHDモエヘネシーディアジオ、ダイソンジャパン、ゴディバジャパンでマーケティングの責任者を経験し、その後ゴディバ本社のグローバルマーケティング部門でチョコレート製品の商品企画の責任者を務めた。2019年に帰国後CMOとしてオリオンビール入社し、現在に至る。

マーケティング部門とECサイト立ち上げについて

ーはじめに、オリオンビールさんにご入社されたきっかけや動機をお聴かせいただけますか。

オリオンビールさんの方からお声がけいただいたのがきっかけです。上場を目指しているとのことだったので、一度そのプロセスを経験してみたいということが大きな理由としてありました。あとは、外資系勤務が長かったので、日本企業で働くことや、地方勤務にも興味がありました。また、温暖な気候で、リゾート地でもあり、日本の中でもユニークなカルチャーがある沖縄という場所は、仕事以外の体験という意味でも新しい経験ができるのではないかと思い入社させていただきました。


ーいろいろなバックグラウンドがある中での、新しいチャレンジだったんですね。入社してからは、どのような業務でご活躍なさっていたんですか。

主にマーケティングとECビジネスを担当してきました。入社にあたっての大きなミッションは、プロダクトマネージメント制を導入し、消費者ドリブンでニーズを捉え、しっかりとマーケティングができる組織をつくっていくということでしたので、マーケティング部門の立ち上げからスタートしています。実際に調査をしたり、プロダクトごとに担当をおいてPL管理をしながらマーケティング活動ができるようなチームをつくり、それによって新製品などの開発導入を積極的に推進してきました。

あとは、ECビジネスを本格的にスタートさせるということでECサイトも立ち上げています。今年で3年目になるんですが、今年も昨年比約5割増と、いい調子で伸ばしてきています。

ーすごいですね。

ECサイトは月の訪問数が30万セッションくらいで、ビールメーカーとしては高い方なのかなと思っています。ビールだけではなく、沖縄の特産品や、ブランドとコラボレーションしたアパレルなども販売しているんですが、要はビールだけでなく、沖縄メイドのものが欲しい人がこのサイトに訪れてくれるような仕掛けになっています。

ーそれは、お客様の視点に立った時に、オリオンビールさんに求めるものが、ビールだけじゃなく、沖縄ならではのプロダクトというところまで広がっていくと、ECとしての魅力や価値が高まっていくのでということですよね。

そうですね。琉球グラスから沖縄そばまで、現在も商品をどんどん拡充させているところです。

ーいいですね。そういう意味ではいろいろなところでお客様と触れ合っていくチャンスも増えていきそうですね。

ビール業界の現状とオリオンビールの現在地

ー改めて、オリオンビールさんの事業内容を教えていただけますか。

オリオンビールは沖縄のビールメーカーですが、沖縄県内ではほぼ唯一の、全国的に知名度のあるメーカーになります。そこまで規模の大きな会社ではありませんが、沖縄県はメーカーが少ないので、比較的誰もが知っていて県民の方々には応援をしていただいている会社なのかなと思います。ちなみにビール業界は4社寡占市場ですが、私たちはその5番目のメーカーになります。4社とは大きく離れた5番目ですね。ただ私たちの目線では全国で5番目のメーカーというよりは、日本最大の地ビールメーカーと言っていまして、4社と競争していくというよりは、沖縄発の地ビールメーカーとしての独自性を出していくことにプライオリティをおいて活動しています。

また、沖縄の皆さんに応援していただいているおかげもあり、沖縄県内ではシェアNo.1で、どこに行ってもオリオンビールが売っていて、飲むこともできるというような状況になっています。ただ、県外や海外市場はまだまだ開発途上ですので、これから積極的に展開していきたいとがんばっているところです。

ーありがとうございます。それに伴って、吹田さんからご覧になったビール業界の現状も合わせて教えていただけますか。


ご存知の方も多いと思いますが、ビール業界はかなり停滞している業界だと認識しています。また、アルコール業界全体をみても、お酒を飲む若い方の数も減っていますし、お酒を飲まれる方の飲む頻度や量も減っているという状況があります。その中でも、特にビール離れはよく言われているところで、RTDやウィスキーハイボールなどに需要が流れ、毎年少しずつ縮小傾向にあります。またビール類は価格に敏感な消費者が多く、ビール類の中でも安い方安い方に流れる傾向が続いています。昔はビールだけでしたが、発泡酒の新ジャンルと、安いカテゴリーがどんどんでてきて、非常に厳しい業界ではあります。ただ、2020年の酒税変更でビールと第三のビールの価格差が狭まったので、ビールがまた復権してきている今は、ビールに強いビールメーカーにとっては攻め時だと思っています。

新たな挑戦と成長戦略

ーオリオンビールさんとして、今後どのようなチャレンジ、あるいは成長戦略を考えておられるんでしょうか。

私たちは沖縄県内ではシェアNo.1ですが、会社が長期的に伸びていくためには、やはり県外や海外に進出していかないと継続成長はできないと思っています。ですので、沖縄がアイデンティティの会社というところは引き続き大事にしながら、沖縄の外に進出していくことを、現状の我々の大きな課題として考えています。

それから、ビールは装置産業ですので、製造コストの高い小規模生産の地域企業はその分高価格のものを売っていかないと利益が出ない仕組みになっているんですね。

ーなるほど。

沖縄県内だけをみると、みなさまに飲んでいただけるお手頃な価格の商品も必要ですが、それだけでは利益も出ないし、成長ののびしろも限られてしまいます。ですから、沖縄県内だけでなく、県外でも競争力のあるプレミアムビールを開発し、高価格帯に基幹製品をもつことが戦略的に重要だと考えていました。県内でのプレミアムビールの市場規模は限定的でも、県外も視野に入れれば、弊社としては十分な継続的成長の可能性を見込めます。ただそうは言っても、沖縄で造っている以上は特別な、その土地ならではの価値を出していくことも大事です。

プレミアムビールを出したいというのは3年ほど前から考えていたんですが、そういう意味できちんと差別化できる製品を造っていこうということで、コツコツ開発を続け、今年の10月25日に沖縄で「オリオン ザ・プレミアム」が発売になりました。沖縄で成功を収めることができたら、それをテコに県外や海外へも進出していきたいと考えています。

ー「オリオン ザ・プレミアム」はどのようなビールなんですか。

なんとなく沖縄のビールというと、みなさん、ゴクゴク飲めて、喉越しの良いスムースなビールを好まれる傾向がありますが、やはりプレミアムに相応しいのはコクのあるビールだと思うんです。でも、ただ単に軽いライトビールを造ってしまうと、薄いビールと思われてしまう危険がありますし、苦いとゴクゴク飲むことができないということで、私たちは、コクがあるけど苦くなくゴクゴク飲める、沖縄発の今までにないまったく新しいビールを造ろうということになりました。それで完成したのが「オリオン ザ・プレミアム」です。

ーすごいですね!

3年がかりでようやくできあがりました。
もしこれが成功すれば、これから私たちが商品開発をしていく上での一つの姿勢にもなると思うんです。やはり沖縄らしく、かつ、ちょっと時間をかけたり手間をかけたり、大手企業にはできないような、そんな製品を造っていくぞ!という新たな攻めの姿勢で、新製品を開発していければと思っています。

今回のセミナーでは、この新しく出した沖縄らしいユニークな新商品の開発ストーリーをお伝えできればと思っております。


ーいいですね!「沖縄から全国へ」というオリオンビールさんの今に至る道のりと、これからにかける想いが、今お話しされたことに集約されているような気がします。ちなみに「オリオン ザ・プレミアム」は、12月のドリンクジャパンの会期には、もう全国展開されていらっしゃいますか?

全国はもう少し先になると思います。ただ弊社のECサイトでは、現時点でも買えるようになっています。

ーいいですね。まだ本格的に世の中に広まる前に新しいスタートを展示会でご紹介いただけるというのも、見所の一つになりそうです。

セミナーご聴講のみなさまへ

ー最後に、今回ご登壇をお引き受けいただいた背景や経緯などがございましたらお伺いしてもよろしいですか。

オリオンビールという会社と、私たちがこれから展開していく「オリオン ザ・プレミアム」という新しいプレミアムビール、そしてそれを造った私たちの企業姿勢のようなものを、少しでも多くの方に知っていただくきっかけになればと思い、今回登壇させていただくことにしました。

ーありがとうございます。また、当日セミナーを聴講される方々に向けて、何かひとこといただけないでしょうか。

オリオンビールは沖縄にある小さなビールメーカーですが、ただ小さくて内向きの会社ということではなく、やはり志を高く掲げて世界でも通用するようなビールを造り、またそれを広げていきたいと思っています。地方企業が全国にビジネスを広げていくロールモデルになれるような活躍ができればと思いながら、日々努力をしています。そんな想いで造った私たちのビールを、ぜひ飲んでいただければありがたいなと思っております。

ー素敵なコメントをありがとうございます。全国の地ビールメーカーさんや製造に関わる人たちも、すごく勇気づけられるお話になるのではないかと思います。セミナー当日を楽しみにしています。


よろしくお願いいたします。

第7回ドリンクジャパン
【会期】
2022年12月7日(水)~9日(金)
【会場】幕張メッセ
【主催】RX Japan株式会社

セミナー
酒類フォーラム2 ~新しいビールの開発戦略~
新しいビールをつくり、沖縄から全国へ    
【日時】2022年12月07日(水)12:00~13:00
【会場】幕張メッセ
【登壇者】オリオンビール(株)取締役 兼 執行役員副社長 CMO 吹田 龍平太

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