PB(プライベートブランド)商品とは?メリット・デメリットや成功させるポイントを解説

PB(プライベートブランド)商品は、コンビニやスーパーマーケット、ホームセンターなどでよく目にするでしょう。消費者のニーズに応えた商品が数多く開発・販売されており、ヒット商品も多いです。

PB商品を目当てに来店する人も多く、企業ブランドのイメージアップや売上増加に繋がる商品だといえます。

本記事では、PB商品の概要やメリット・デメリット、生産方法、成功させるポイントなどを解説します。記事の後半では、PB商品の情報を効率的に入手できる方法にも触れるので、PB商品に興味のある方や、開発・販売を考えている方はぜひ参考にしてください。



PB商品とは小売業者が独自開発したオリジナル商品

PB商品の「PB」とは、「Private Brand (プライベートブランド)」の略語です。販売店の名前が商品名に使われている場合もあり、「ストアブランド」とよばれることもあります。

PB商品は、小売業・卸売業者(非メーカー)が、独自に企画・開発・販売する自社オリジナル商品です。自社の店舗やオンラインショップなどで直接販売されます。

自社工場で生産する場合もあれば、ノウハウや生産設備がない場合には、OEM(他社の商品を製造する会社)など他社に製造を依頼するケースもあります。

OEMについては以下の記事で詳しく紹介しているため、ぜひあわせてごご覧ください。

▶関連記事:OEMとは?意味やODMとの違いからメリット・デメリットまでわかりやすく解説!


NB商品との違いはメーカーが開発・製造を行っているか否か

PB商品と似た言葉に、NB商品があります。

NB商品の「NB」とは、「National Brand(ナショナルブランド)」の略語です。専門的な技術を持つメーカーが企画・開発・製造を行い、小売業に卸す商品をさします。

NB商品は企業名や商品名が広く認知されており、地域や店舗を問わず多くの場所で販売されています。 PB商品とは異なり、商品の問合せやクレーム対応、広告活動を行うのは、メーカー側です。

著名なNB商品として、例えば以下の3つが挙げられます。

  • 日本コカ・コーラ株式会社の「コカ・コーラ」
  • 株式会社伊藤園の「お~いお茶」
  • アサヒビール株式会社の「アサヒスーパードライ」

いずれも全国的に有名な商品ばかりで、大手ならではの信頼性と人気を誇っています。



【PB商品の具体例】コンビニや大手スーパーの商品など多数!

PB商品は、大手スーパーが独自に開発した商品や、コンビニのロゴが入った商品です。食品・飲料から日用品、化粧品、生活雑貨まで、様々な種類がラインナップされています。

PB商品の具体例をいくつか紹介します。

  • 株式会社西友ホールディングス(西友):「みなさまのお墨付き」シリーズ
  • 株式会社セブン&アイ・ホールディングス(セブンイレブン):「セブンプレミアム」・「セブンカフェ」
  • 株式会社ローソン(ローソン):「ローソンセレクト」

食品から調味料、お酒まで幅広い商品が販売されている株式会社西友ホールディングス(西友)の「みなさまのお墨付き」シリーズでは、「あったらいいな!便利だな!」という商品を開発し、100人以上の一般消費者を対象としたテストで80%以上の支持を得たもののみ商品化されています。

株式会社セブン&アイ・ホールディングス(セブンイレブン)のPB商品は、「セブンプレミアム」が「毎日食べたい」と思える美味しさを提供するのに対し、「セブンカフェ」はこだわりの美味しさで「リフレッシュできるひと時」を提供します。

株式会社セブン&アイ・ホールディングスでは、技術力のあるNBメーカーと共同開発を行い、高品質の証として生産者(製造元)の名前を明記するなど、従来のPB商品の定説を覆す新しい手法が注目されました。

また、株式会社ローソン(ローソン)の「ローソンセレクト」も見逃せないPB商品のひとつです。生鮮食品から総菜、菓子、調味料、飲料まで幅広い生活必需品を取り揃えています。



PB商品の3つのメリットとは

食品から生活雑貨まで幅広いラインナップが特徴のPB商品は、主なメリットとして以下の3つが挙げられます。

  • 製造設備への投資が不要でオリジナル商品が企画販売できる
  • 自社のブランディングにより差別化を図れる
  • 消費者の声を反映させたオリジナル商品が作りやすい

以下で、それぞれのメリットを詳しく解説します。


製造設備への投資が不要でオリジナル商品が企画販売できる

他社に製造を依頼するOEMでPB商品の製造を行うと、製造設備への投資が不要となります。大きな初期費用なしでオリジナル商品を企画販売できるのはメリットです。

メーカーがまだ気付いていない、消費者の隠れたニーズを満たす商品など、消費者にとって魅力的な商品を開発・販売すれば、それを目当てに来店する顧客を獲得できるでしょう。


自社のブランディングにより差別化を図れる

PB商品は自社のブランディングにより、差別化が図りやすいのもメリットです。

開発から販売まで関わるため、今までの知識・経験をもとに十分時間をかけたブランディングが行えます。特定の店舗、またはオンラインショップでしか買えない限定商品の企画・開発・販売が可能です。

他社とは異なる特徴をアピールすると、価格競争から脱却でき、オリジナル商品であることを主張できます。NB商品と同品質またはそれ以上の商品をリーズナブルな価格で提供できれば、多くの消費者のファン化・リピーター化が期待でき、口コミによる宣伝効果も見込めるでしょう。

「この会社の商品は安くて品質が良い」など「自社ならでは」の価値を認識してもらえるのは、大きな強みになります。

ブランディングを実施することで、ブランドロイヤルティ、ロイヤルカスタマーが育ちます。

ブランドロイヤルティとは、顧客が特定のブランドに対して抱く忠誠心や執着心のことです。ブランドロイヤルティが向上すれば、顧客はその企業自体に強い愛着をもつようになります。

ロイヤルカスタマーは、リピーターとして売上アップに貢献するだけでなく、競合他社へ気持ちが移らず、ともにブランドを育成してくれます。優良顧客でありファン、宣伝活動も担ってくれてテストマーケティングにも協力的です。


消費者の声を反映させたオリジナル商品が作りやすい

一般的に、メーカーには消費者の声が届きにくい傾向がある一方、小売店は消費者との距離が近いところが強みです。

「こんな商品があったら便利」など、消費者のニーズやトレンドを反映させたオリジナル商品が作りやすいのもPB商品のメリットです。消費者の声を反映させた身近な例として、家電量販店が電化製品の開発に携わっているのは有名な話です。

商品の価格設定や改良も自社の判断で行えるため、消費者が気に入れば大きな利益が期待できるでしょう。



PB商品の2つのデメリットとは

PB商品は自社商品のファンを増やしたり、売上の向上に繋げたりできるなどメリットが多くありますが、その一方、デメリットといえることも複数あります。

  • 在庫を抱える懸念がある
  • クレームなどトラブルへの対応に責任が生まれる
  • 製造ロット次第で粗利が低くなる
  • 販売促進費用がかかる

PB商品の開発・販売をご検討中の方は、デメリットも知った上ではじめることが大事です。


在庫を抱える懸念がある

PB商品の転売は基本的に不可で、自社店舗で全て売らなければなりません。売れなかった場合は、在庫を抱えるリスクがあるところはデメリットといえます。

過剰在庫にさせないためには、綿密な販売計画とそれに見合った製造ロットが必要です。そして、出口戦略を行ってからPB企画を進めていくことが重要です。

機会損失チャンスロスを回避するために、製造から納品までのリードタイムを確認して計画的に追加製造を進めることが求められます。

在庫管理については以下の記事で紹介しているため、ぜひあわせてご覧ください。

▶関連記事:在庫管理とは?目的と重要性から課題や効率化のアイデアまで解説


クレームなどトラブル対応に責任が生まれる

先にも少し触れましたが、NB商品の場合、消費者からの問合せへの初動対応は基本的に小売店ですが、最終的な対応はメーカーが行います。

しかし、PB商品は自社開発商品なので、商品の品質やサービスに対するクレームなどのトラブル対応を自社で行う必要があります。

そのため、製品開発や品質管理に今まで以上の責任感を持たなければなりません。


製造ロット次第で粗利が低くなる

PB商品は一般的に製造ロットが大きくなるため、利益を生み出すためには大量の商品を製造する必要があります。製造ロットによっては、粗利が低くなってしまう可能性がある点はデメリットです。


販売促進費用がかかる

企画・開発から販売まで小売業・卸売業者が担うPB商品は、販売促進のためのマーケティング戦略も重要です。ブランドイメージの構築や品質維持など、対応すべきことは多々ありますが、こうした販売促進のためには一定の費用がかかる可能性があります。



PB商品の生産方法はOEM製造が主流!自社に設備がなくても簡単に導入できる

PB商品の生産方法は、OEM製造が主流です。OEM(オーイーエム)とは「Original Equipment Manufacturing(Original Equipment Manufacturer)」の略語です。メーカーが自社以外のブランドの商品を製造することを意味します。

PB商品の生産方法として、開発段階から消費者の声や購買データを活用し、提携メーカーのNB商品を改良する手法もありますが、OEM製造を行う会社が多くなっています。

自社ブランド商品の企画・開発を行う会社が、製造専門の業者であるOEMメーカーに生産を依頼することで、設備投資などの初期費用にかかる費用が不要になる点がメリットです。

さらに、経験豊富なOEMメーカーの知識や技術・ノウハウを取り入れれば、消費者のニーズを満たすより良い商品を設計できます。



PB商品を成功させるポイント

PB商品のOEM製造を行うケースを含め、PB商品の開発・販売を成功させるには、以下の3つのポイントを押さえる必要があります。

  • どの販売場所でも同一価格で販売する
  • ブランド戦略を確立させる
  • 業界トレンドなどの情報収集を行う

どの販売場所でも同一価格で販売する

NB商品は、同じ商品であっても店舗によって価格が異なります。例えば、「コンビニでは100円だった商品が、スーパーでは80円だった」などの経験をしたことがある方は多いでしょう。

一方、PB商品の強みは販売場所に関わらず、価格を統一できることです。全ての店舗・オンラインショップでの価格を同一にすることで、消費者に「どこで買っても同じ値段」という安心感・信頼感を与えられます。


ブランド戦略を確立させる

PB商品を成功させるには、ブランド戦略をしっかりと立てて、それに沿ったPB商品の開発・製造を行うことが大切です。

具体的なブランド戦略の一例として、例えば以下の視点から戦略を立てます。

  • どうやって自社の商品を際立たせるか
  • どこで競合他社との差別化を図るか
  • 顧客が求める商品はどんなものか
  • 自社製品の特徴がわかるパッケージはどんなものか
  • ブランドコンセプトやターゲット、購買動機、ベネフィットを明確にする
  • ターゲットの年齢や性別、職業、好みなどを具体的に設定する「ペルソナ」である
  • 最初から大規模にスタートはせず、スモールスタートをする「テストマーケティング」である
  • 消費者に伝えるメッセージや広告チャネルを考え、実行させるための業務フローと予算計画を作る
  • 成功すると類似品が出るため、しっかり商標登録をする

構築した戦略どおりに企画~販売を行うことで、認知度アップや売上向上に繋げやすくなります。


消費者のニーズ、業界の動向は常に変化する

消費者のニーズや流行は移ろいやすく、年々多様化しています。ターゲットの現在のトレンドをきちんと追い、成功事例や失敗事例を参考にしながら商品企画を行いましょう。ニーズや市場の検証が不十分な場合、失敗する要因になり得ます。

新規事業としてPB商品開発に取り組むなら、業界のトレンドを含めた情報収集も大事です。業種・他業種の企業から話を聞くことで、開発に関わるヒントが得られるかもしれません。

インターネットや本で情報収集する他、効率的に情報を得るためのひとつの方法として、展示会への来場もおすすめです。業界のトレンドなど最新情報の収集ができ、具体的な商談を行える場合もあります。



飲料のPB商品に関する情報収集なら「ドリンクジャパン」への参加がおすすめ

PB商品の開発・導入を行うなら、まずは豊富な知識を身につけ、様々な商品・設備を比較検討する必要があります。PB開発を検討しており、実際に商品や設備を見たいなら、「ドリンクジャパン」に参加してはいかがでしょうか。

ドリンクジャパンは、飲料・液状食品の開発・展示会です。毎回、飲料・酒類の研究や製造に関わる企業が新技術・新製品を出展します。

OEM・PB開発会社も出展することが多く、最新商品の実物やサービスの展示を行います。委託を検討している来場者は、素材から原料、製造装置にいたるまで目で見て確認できるため、どの企業に委託するのかを決める判断材料を得ることが可能です。

さらに、併催のセミナーでは、飲料開発・製造の最新トレンド情報も入手できます。

ドリンクジャパンは来場登録すれば無料で入場が可能です。また、来場者としてだけでなく、出展者側(受託する側)で参加するのにもメリットがあります。

PB開発・設備導入を検討している全国各地の飲料メーカーや小売店に、自社製品や技術・設備をアピールすることが可能です。BtoBの活発な商談が行われる場なので、新しい取引先や顧客の獲得に繋がりやすいのも大きなメリットです。

出展スペースには限りがあるため、参加をご検討中であればぜひお早めにお申し込みください。

■ドリンクジャパン



PB商品の開発・導入で他社との差別化を

PB商品とは、スーパーやコンビニなどの小売業者が独自に開発・販売するオリジナル商品です。消費者のニーズを直接反映させることで他社との差別化が図りやすいなど、様々なメリットがあります。

自社にPB商品のノウハウや製造設備がない場合でも、製造部門をOEMに委託すれば、PB商品の開発・販売が可能です。自社で企画・開発のみを行い、生産工程をOEMに任せることで、設備投資などの初期費用を抑えることにも繋がります。

PB商品のOEM製造を委託する場合、事前の情報収集が大切な意味を持ちます。その選択肢のひとつとして、OEMを含め様々な情報が集まるドリンクジャパンに参加してはいかがでしょうか。

出展者として参加すれば多くの見込み客へのアピールが可能なので、来場・出展ともにぜひドリンクジャパンへの参加をご検討ください。

■ドリンクジャパン
詳細はこちら



▶監修:宮崎 政喜(みやざき まさき)

エムズファクトリー合同会社 代表 / 料理人兼フードコンサルタント
出身は岐阜県、10代続く農家のせがれとして生まれ、現在東京在住。プロの料理人であり食品加工のスペシャリスト。また中小企業への経営指導、食の専門家講師も務めるフードコンサルタントでもある。飲食店舗・加工施設の開業支援は200店舗以上。料理人としてはイタリア トスカーナ州2星店『ristorante DA CAINO』出身。 昨今、市町村や各機関からの依頼にて道の駅やアンテナショップも数多く手掛ける。今まで開発してきた食品は1000品目を越え、商品企画、レシピ開発、製造指導、販路開拓まで支援を日々実施している。




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