クラフトジンとは?ジンとの違いや市場動向、魅力や製造方法を紹介
クラフトジンは近年注目を集めており、国内外で人気が高まっているジンの一種です。
「クラフトジンとは具体的にどのようなものかわからない」と気になっている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、クラフトジンの概要や通常のジンとの違い、市場規模の動向やクラフトジンならではの魅力・特徴を紹介します。クラフトジン市場への参入を検討している企業の方はぜひ参考にしてください。
クラフトジンとは?種類による違いを解説
クラフトジンに明確な定義はなく、一般的にこだわりの原料と製造方法で作られる少量生産のジンをさす場合が多いです。
ジンはヨーロッパに起源があり、薬用酒として製造されていたとされ、特にオランダ発祥のジュネヴァ(Genever)が原型となったといわれます。
一般的にジンとは、大麦やトウモロコシなどを原料とし、麦芽や酵素剤を利用して糖化、発酵、蒸溜して得られたスピリッツにジュニパーベリーなどの草根木皮を浸し、再度蒸溜した無色透明のお酒をさします。
種類は大きく「ジン」「蒸留ジン」「ロンドンジン」に分けられ、EUでは材料や製法、アルコール度数などにより、それぞれの違いが定義付けられています。蒸留ジンは香料や甘味料の使用が許可されることが多いです。ロンドンジンは香料や甘味料の追加が禁止されており、純粋でフレッシュな風味が特徴です。
日本において、ジン・ウォッカ・ラム・テキーラなどは、まとめて「スピリッツ類」に分類されます。
「クラフトジン」と「通常のジン」の違い
クラフトジンと通常のジンの違いは、明確に定義されているわけではありません。
一般的な傾向として、クラフトジンは強いこだわりで作られており、風味や香り付けをするために使用される植物由来の原料「ボタニカル」が様々で、個性が強いジンとされています。
そのため、大手メーカーが大量生産して販売するジンを通常のジン、個性的かつ少量生産で作られるジンをクラフトジンとするのが一般的です。
クラフトジンが注目される背景
ジンはイギリスでクラフトジンがヒットするなど、ヨーロッパを中心に人気が高まりました。日本のジン輸出量(ウォッカを含む)は年々増加し、特に2021年は大幅に伸びています。
ジンの輸出が増えたのは、世界的にクラフトジンの需要が高まるなか、日本独自の素材やボタニカルを使った高品質なクラフトジンが登場したことが要因とされています。
また、日本酒やウイスキーが海外で高評価を受けて、日本産ジンの独特な香味や味わいが早い段階で受け入れられ評価されたことも、ジンの輸出量が増加した要因とされています。
ジンはウイスキーと違い、長い年月熟成する必要がありません。数ヶ月で製造できるため、クラフトジン市場に参入する企業も増加しています。
クラフトジン・ジンの市場動向と今後の見通し
クラフトジンは海外だけではなく、日本国内でも人気が高まっているため、クラフトジンやジンの市場は今後も伸びる見通しです。大手メーカーのサントリーの報告によると、2023年時点の国内出荷量は、5年前に比べると約3.9倍に増加しています。国内では、クラフトジンやジンをソーダで割る飲み方が人気を集めていることが、出荷量増加の背景にあると考えられています。
サントリーは、ジンの販売を本格的に強化するため、55億円を投資して大規模な設備投資を行っており、2030年までに国内ジン市場を2020年比で6倍以上(450億円規模)まで引き上げる計画を立てています。
輸出量の増加、国内出荷量の増加、大手メーカーの動向からみて、今後も拡大が見込まれる市場です。
クラフトジンの特徴・魅力
クラフトジンの特徴やジンと異なる魅力には、主に以下が挙げられます。
- 個性豊かな香りと味わい
- 産地の特産品を活かした独自性
- 手作りのこだわりと品質の高さ
- 新しい発見と好みの味との出会い
個性豊かな香りと味わい
独自性のある個性豊かな香りや味わいが楽しめるのは、クラフトジンの魅力のひとつです。クラフトジンは、製造者・メーカーごとに異なるボタニカル(植物由来の香味成分)が使用されています。一般に流通しているジンとは異なるユニークな味わいを楽しめる点が大きな特徴です。
ジュニパーベリーを中心に、シトラス系、ハーブ、スパイス、花、果実など、多彩な素材がブレンドされているため、ブランドやメーカーごとに異なる個性を楽しみつつ、好みの味を見つけられます。
産地の特産品を活かした独自性
クラフトジンのなかには、製造地特有のボタニカルを使用しているジンが多く、土地ならではの風味が楽しめる点も魅力のひとつです。
例えば、日本産クラフトジンでは、柚子・山椒・桜の花などがよく用いられ、和の要素を感じられる味わいがあります。特産品を使った独自性のあるクラフトジンや日本ならではの味わいは、お土産や贈り物にも適しています。
手作りのこだわりと品質の高さ
クラフトジンは、通常のジンに比べて強いこだわりを持って作られている傾向にあります。大量生産ではなく小規模で製造される場合が多く、製造過程での丁寧な手仕事や細部へのこだわりが品質に反映されています。
生産量が少ないため、購入本数が限られているクラフトジンも多く、特別感や高級感を味わえる点は魅力のひとつです。
新しい発見と好みの味との出会い
クラフトジン市場は世界的に拡大しており、次々と新しいブランドやフレーバーが登場しています。小規模な蒸留所が独自のこだわりを持って作るため、使用するボタニカルや製法もブランド、メーカーによって多種多様です。
様々な製品を試し、好みの一杯を探し続ける楽しみ方もクラフトジンならではの魅力です。
クラフトジンの選び方
クラフトジンは様々な種類があるため、選ぶ際に迷うかもしれません。どう選ぶか悩んだら以下のポイントを基準にしてみてください。
- 素材(ボタニカル)で選ぶ
- 産地で選ぶ
- ボトルのデザインで選ぶ
- 価格・予算で選ぶ
特に素材は香りや味に影響するため、購入前に確認しておくとよいでしょう。複数の商品を購入し、飲み比べてみるのもいいかもしれません。また、産地やボトルのデザインも、ブランドやメーカーによってこだわりが見える部分です。価格を含め、総合的に評価して好みのクラフトジンを選びましょう。
クラフトジンの製造方法・流れ
ジンとクラフトジンは原材料へのこだわり、ボタニカルの種類や配合の自由度、手作業によるボトル詰めやラベル貼りなどの点で異なりますが、基本的な製法そのものに大きな違いはなく、工程は伝統的なジンもクラフトジンも共通です。
ジンは一般的に以下の流れで製造されます。
- 原料を選定・準備する
- 糖化させる
- 発酵させる
- 蒸留させる
- ベーススピリッツ完成
- ボタニカルを加える
- 再度蒸留させる
- 水で調整する
- ジン完成
サトウキビやフルーツなど、糖分を天然に含む原料の場合、糖化の工程は不要です。一方、トウモロコシ、大麦、ライ麦などの原料には酵母が利用できる糖分が含まれていないため、糖化によるデンプンの分解が必要です。原料の種類に応じて工程が若干異なるものの、基本的な製造の流れは比較的シンプルです。
クラフトジンはOEMでの製造も可能
クラフトジンは自社の設備で製造する以外に、OEMで製造する方法もあります。自社で製造設備の用意が難しい場合には、OEMも検討してみるとよいでしょう。
OEMとは、「Original Equipment Manufacturing」または「Original Equipment Manufacturer」の略称で、委託者のブランドで製品を生産する製造方法をさします。OEMで生産することを「OEM生産」、OEMを受注しているメーカーを「OEMメーカー」と呼びます。
お酒は酒税法に基づき、製造・販売に関する免許が必要です。そのため、自社でゼロからクラフトジンを製造する場合、設備に加えて専門知識を有する人材の確保が必要になり、予想を上回るコストがかかるかもしれません。
OEMを受託している企業に依頼すれば比較的コストを抑えつつ、オリジナルのクラフトジンの製造が可能です。OEMについてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
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■ドリンクジャパン
2025年12月3日(水)~5日(金)
クラフトジンは国内外で人気が高まっている
クラフトジンは大量生産によって流通している通常のジンとは異なり、こだわりや独自性を持って製造・販売されているジンをさします。ジンの輸出量は年々増加しており、日本製のジンはクオリティが高いとして世界でも人気です。国内でも大手メーカーがジンの市場規模を拡大するために力を入れています。
クラフトジン市場への参入やOEMの委託を検討している企業は、ぜひ「ドリンクジャパン」にご来場ください。ドリンクジャパンは日本で唯一の飲料・液状食品に関する開発・製造に特化した国際商談展で、飲料・酒類・液状食品向け原料・素材も出展するため、クラフトジンの開発・製造に有益な情報収集や原料のリサーチが可能です。
出展側として参加し、自社製品アピールの場や商談獲得の機会にもご活用いただけます。クラフトジンの製造やOEMの受託を行っており販路拡大や新規顧客獲得を目指している企業の方も、ぜひこの機会をご活用ください。
■ドリンクジャパン
2025年12月3日(水)~5日(金)
▶監修:宮崎 政喜(みやざき まさき)
エムズファクトリー合同会社 代表 / 料理人兼フードコンサルタント
出身は岐阜県、10代続く農家のせがれとして生まれ、現在東京在住。プロの料理人であり食品加工のスペシャリスト。また中小企業への経営指導、食の専門家講師も務めるフードコンサルタントでもある。飲食店舗・加工施設の開業支援は200店舗以上。料理人としてはイタリアトスカーナ州2星店『ristorante DA CAINO』出身。昨今、市町村や各機関からの依頼にて道の駅やアンテナショップも数多く手掛ける。今まで開発してきた食品は1000品目を越え、商品企画、レシピ開発、製造指導、販路開拓まで支援を日々実施している。
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